2019年10月12日~13日にかけて、東日本を中心に各地で甚大な被害をもたらした台風19号。
中でも特に被害が多かったのが、河川の氾濫や越水による水害なのではないでしょうか。
そこで問題になってくるのが、汚泥水などによる感染症。
今回は、水害による感染症という二次被害を予防するための消毒ポイントをまとめてみました。
その怖さを知り、予防に是非お役立てください。
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冠水被害の後に感染症を予防するための消毒ポイントは?
冠水被害の後に感染症を予防するための消毒ポイントについて、順を追ってご紹介したいと思います。
以下は厚労省の感染症対策資料です。
引用元:厚労省
まず第一に、清掃のため自宅に戻る際に気をつけること!
水害後自宅に戻る際には、身の安全を守るために以下のことに気をつけてください。
- 臭いや音などで、ガス漏れがないことを確認する。
- 漏電を防ぐため、電気系統の安全が確認できるまではブレーカーを落としておく。
- ガズボンベや車のバッテリーなど危険物を見つけたら、近づかず消防や市町村役場に相談する。
- 換気に注意し、清掃が完了するまでは、子供やペットを室内に入れないようにする。
消毒前の片付け・洗浄ポイント
床上浸水の場合
- 水が引いた後、濡れた畳や不用品を片付ける。
- 汚れた家具や床・壁などは、水で洗い流すか水拭きするなどしてよく乾かす。
- 食器類や調理器具などは、水洗いして汚れを洗い流す。
床下浸水の場合
- 床下や家の周辺にある不要物や汚泥などを片付ける。
- 床下に水が溜まっている場合は雑巾等で吸水し、扇風機やサーキュレーターなどで換気し、よく乾かす。*可能なところは水で洗い流す。
水害後の消毒に使用する消毒薬とは?
身の安全を確保し危険物を処理・片付け・洗浄をしたあとに、消毒をしていきます。
使用する消毒薬は
- 逆性石けん(ぎゃくせいせっけん)
- 家庭用塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)
の2つです。
逆性石けんは、医療器具の消毒や食中毒対策などに用いられ、「オスバン」「ベンザルコニウム」などの名前で売られています。
家庭用塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)は、ノロウィルス対策にも有効な強力な消毒薬で、「キッチンハイター」「ミルトン」などの名前で売られています。
どちらもドラッグストアで購入することが可能です。
水害後の消毒ポイントは?
いずれも汚れを水などで落としてから消毒します。
それぞれの薬剤には、その効果を十分に発揮するための適切な希釈倍率がありますので、パッケージの記載欄や以下の希釈例を参考に用途に合わせて適切に希釈してご使用ください。
家庭用塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)・・・6%原液を、300倍(使用濃度0.02%)に希釈して使用する。
逆性石けん(塩化ベンザルコニウム液)・・・10%原液を、100倍(使用濃度0.1%)に希釈して使用する。普通の石けんが残っていると殺菌効果が弱くなるので、石けんをよく洗い落としてから使用する。
消毒液別の消毒場所は?
家庭用塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)・・・食器や衣類。(汚れを落とした後、薬液の中に決められた時間浸し乾かす。衣類は色落ちすることがあるので、その場合は色柄用ハイター等を使用する。)
逆性石けん・・・床や壁・家具など。(正しい倍率で希釈した薬液に浸して絞った布などで拭く。噴霧の場合は、濡れる程度に噴霧しそのまま乾かす。家の周りは、じょうろや噴霧器などで濡れるように薬液をまく。)*屋外の消毒に消石灰を用いる方法を紹介しているところもありますが、厚労省によると屋外の消毒は原則不要だとのことです。下記参照。
引用元:厚労省
水害後の消毒の際の注意点とは?
消毒作業の際には以下の点にご注意ください。
- 消毒作業の際に、消毒液が目に入らないようにメガネやゴーグルを装着する。
- 消毒液が皮膚に付かないように、マスク・ゴム手袋を装着し、長袖・長ズボンなどで体を保護する。
引用元:厚労省
水害に関連する感染症と対策とは?
自然界には、水害があってもなくても大腸菌やサルモネラ菌など数え切れないほどの感染症を引き起こす細菌・ウィルスが存在しているので、すべての例を挙げることはできないので、今回は特に注意して欲しい感染症を3つピックアップしてご紹介します。
破傷風菌
水害に限らず、自然界に広く分布している怖い感染症といえば破傷風菌です。
破傷風菌は、傷口から体内に入り全身の筋肉をけいれんさせ、呼吸筋麻痺を起こすことがあるため、傷があり筋肉のけいれんが起きた際には速やかに救急要請しましょう!
レジオネラ菌
レジオネラ菌は、土の中や川の水などに生息し、本来は健康な人には感染症を起こさない菌です。
しかし、避難生活や災害にあって体力や免疫力が低下すると、病気を引き起こすことがあります。
レジオネラ菌が引き起こす肺炎を予防するには、口からの侵入を防止することが重要なため、作業中やホコリが舞い上がる場所では必ずマスクをつけるようにしましょう。
マダニ
マダニは、その特性上1メートルほどの雑草があれば、家の庭にも日常的に発生します。
マダニは1メートルほどの背の高い雑草に潜み、近づいてくる動物や人間に飛び移り、その皮膚に噛み付いて何日もかけて血液を吸い取ります。お腹いっぱいに吸血し終われば自然に離れますが、怖いのは日本紅斑熱やツツガムシ病を媒介することがあるということです。
マダニに噛まれたあとに発熱などの症状があった場合は、すみやかに病院を受信しましょう。
また、皮膚についてマダニを無理やり剥がそうとすると、皮膚に喰い込んだマダニの口器が皮膚に残りアレルギーを引き起こすことがあるので、噛まれたら無理にはがさず病院(主に皮膚科)を受診することをおすすめします。
予防は、長袖・長ズボン・手袋・帽子などを着用し、肌を露出しないようにしたり、虫除けスプレーを使用することが望まれます。
多くの感染症に言えることですが、標準予防策はいたってシンプルです。
それは、こまめに石けん(液体ソープももちろん可)と流水でよく洗うことです。
昔は、傷を作るとすぐ消毒する習慣がありましたが、現代の創傷処置のエビデンス(科学的根拠)によると、石けんと十分な流水でたいていの感染症は予防することが出来ます。(*ノロウィルスなど、アルコール消毒では全く歯が立たない一部の感染症は除きます。)
どうしても手洗いに十分な水がない場合は、ウェットティッシュなどで十分に汚れを落とし、アルコール消毒液などを十分刷り込ませましょう。
明らかに深い傷を負ったり、十分な洗浄・消毒を行えない状況にある場合は自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
水害後の感染症予防と対策や消毒ポイントのまとめ
今回は、台風19号による大規模水害に関連した、水害後の感染症予防と対策や、消毒方法のポイントについて、
- まず第一に、清掃のため自宅に戻る際に気をつけること!
- 消毒前の片付け・洗浄ポイント
- 水害後の消毒ポイントは?
- 水害後の消毒に使用する消毒薬とは?
- 水害後の消毒の際の注意点とは?
- 水害に関連する感染症と対策とは?
ということを中心にご紹介しました。
水害に遭われた皆様に、少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
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